看護の現場

病態の理解や精神面のサポート。看護師の透析患者との付き合い方とは?

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透析患者さんとのお付き合い

透析患者さんの病態

日本透析医学会によると、現在日本で透析を受けている患者さんの数は約30万人。その導入原因疾患の第1位は糖尿病性腎不全です。糖尿病患者自体も年々増加しており、血糖コントロールが上手くできず腎症などの合併症を引き起こす方も少なくないということですね。第2位は慢性糸球体腎炎、第3位は腎硬化症となっています。

 

透析患者さんは腎機能が低下している腎不全。病態の把握には、腎臓本来の働きを理解することが大切です。

 

【腎臓の機能】
1.尿素窒素やクレアチニンなどの老廃物をろ過し、余分な水分と共に尿として体外に排出
2.Na・K・Caなどの電解質を調節し、血液をアルカリ性に保つ
3.血圧上昇ホルモンのレニンを分泌し、血圧を調整
4.造血ホルモンのエリスロポエチンを分泌し、赤血球生成・造血に関与
5.ビタミンDをビタミンD3に活性化させる(Caの骨への沈着に重要)

 

腎不全患者さんは腎機能がうまく働かないため、老廃物のろ過ができない、電解質バランスを崩すなどの障害が起こります。代表的な症状は尿毒症。尿が少ない・浮腫・倦怠感・怒りっぽくなるなどの症状が見られ、放置すれば生命が脅かされます。また、本来は細胞内に多く存在するカリウムが、腎臓が電解質の調整をできなくなると血中で濃度を上げてしまう高カリウム血症も恐ろしいもの。症状は、倦怠感・吐き気・しびれ・不整脈などです。心不全を引き起こすこともあり、看護師としても気をつけてあげたい症状ですね。

精神的負担をサポート

患者さんは、さまざまな思いを抱えています。「どうして自分がこんなことに?」と、特に透析導入の前後は葛藤が多い様子。また、患者さんは生活の改善も求められ、そのストレスも大きいものです。仕事や家庭生活を送りながら治療を受けている方も多いのですが、とても疲れやすいため無理はできません。職場での立場などで、精神的プレッシャーを受ける方も少なくないでしょう。さらに、腎不全の患者さんに重要なのは食生活の改善。たんぱく質や水分の制限があるなど、「好きなものを好きなだけ!」とはできない生活です。
看護師は、患者さんの数だけ、その生活や気持ちがあることを理解することが大切だと思います。型に当てはめた慰めでは、かえって不安や怒りをあおぐだけになるかもしれません。できるだけ患者さんの話を親身に聞いて理解し、適切なアドバイスをしたいですね。

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透析専門クリニックの勤務年数10年の看護師が、透析について熱く語っています。
透析に興味のある方、転職を考えている方の参考になれば嬉しいです!