透析とは?
透析の目的
透析の目的を簡単に言うと「腎不全患者の尿毒症や電解質異常を防ぐ」ということ。腎臓の役割の一つに、血液をろ過してクレアチニン・尿素窒素・尿酸などの老廃物を取り除き、体外に排出するための尿を生成することがあります。腎臓の機能が低下すると、血中の老廃物を取り除けない、尿が出ないなどの障害が起こり、尿毒症や高カリウム血症など生命の危機に陥ってしまいます。腎不全の治療法の一つである腎移植は、簡単に日常的に行えるものではありませんよね。なので、腎臓の働きを代わりにしてもらう透析治療が主流となっています。
透析には血液透析と腹膜透析の2種類があり、目的は同じものの、その特徴や方法は大きく異なっています。患者さん自身の希望や環境に合わせて選択されていて、看護師としても知識を深めておくことが大切です。
血液透析の特徴
●血液透析の特徴
・患者の準備:シャント設置
・治療場所:医療機関
・通院回数:週3日
・1回の時間:4~5時間
血液透析の流れは、【シャント部に穿刺→ダイアライザーに血液を送る→機器内で血液を浄化→返血】となります。機能が低下している患者さんの腎臓の代わりに、ダイアライザーがその役割を果たしてくれるんですね。
大きな特徴は、シャント設置と週に3日の通院です。さらに、1回あたりの拘束時間は約4時間。透析のために病院やクリニックに行く日は、他のお出掛けはほとんどできないはず。日常生活のほぼ中心となる治療と言えるでしょう。
腹膜透析の特徴
●腹膜透析の特徴
※CAPD(連続携行式腹膜透析)とAPD(自動腹膜透析)の2種類があります。
・患者の準備:カテーテル設置
・治療場所:CAPD→自宅・学校・職場など・APD→自宅
・通院回数:月1~2回
・1回の時間:CAPD→約30分・APD→約8時間
腹膜透析は、患者さんの腹膜を利用する治療です。カテーテルを通して腹腔内に透析液を入れ、腹膜に張り巡っている毛細血管から老廃物や余分な水分が排出されていきます。
CAPDの場合、透析液は1日に約4回、約30分かけて交換します。ゆっくりとした自然なペースで透析が行われるため、身体的負担が少なく、職場や学校でも行えます。
APDは自宅での就寝中の時間を利用し、サイクラーという機器で腹膜内の透析液を交換します。昼間の拘束時間が少ないので、生活にあまり影響を与えないのが大きな特徴です。