フットケアの重要性と認定資格
透析患者の合併症とフットケアの重要性
透析治療をうけている患者さんの足は、冷えや痺れ、痛み、潰瘍などのトラブルが発生しやすい状態にあります。その原因は、既往症により動脈硬化や末梢血管障害が起こりやすく、血液の循環が悪くなっているからです。 さらに、末梢神経の働きが鈍くなっていると、足に傷や潰瘍などがあっても気づかないことがあります。そのため壊疽が進み、足の切断に至るケースもあるほどです。
このような合併症によるトラブルを避けるため、近年の医療や介護現場ではフットケアの大切さが重視されています。医療従事者がフットケアを行うことでトラブルを早期発見し速やかに対応。その後のQOLを下げない取り組みがなされています。
フットケアとは
看護師や介護従事者が行っているフットケアとは、どういうものでしょうか?ケアの方法を具体的に見ていきましょう。
【チェックポイント】
基本的なチェック項目は、血液循環や知覚、皮膚の状態、傷の有無などが挙げられます。異常を早期発見するためには、丁寧に観察することも大切ですが、定期的および継続的にチェックすることも重要です。継続することで、些細な変化にも気が付きやすくなるでしょう。 また、患者さんとコミュニケーションを図りながら観察することも大切です。患者さん自身が生活していくなかで抱いた違和感をお話されることで、異常の早期発見につながる可能性もあります。
【ケア】
爪切り、たこ削り、踵の角質除去などを行います。もし、皮膚病の疑いがある場合は担当医師に報告し診断を仰ぎましょう。そのうえで投薬や薬の湿布が必要なときは、患者さんに理由を説明して治療への理解を図ってください。 高齢の患者さんの場合は、自分で薬の管理をするのが困難なこともあります。そのようなときは、ご家族にしっかりと説明したり、施設スタッフで情報を共有したりすることが大切です。 病院や施設によっては、血行を促すため足湯を行うところもあります。患者さんに無理のない体位で行うよう心がけましょう。
透析患者が気をつけたい靴の選び方
合併症が現れていなくても、血管や神経に留意した靴選びをするのが望ましいです。患者さんへ生活面での留意を指導する際、靴の選び方についてもお話しください。
以下が靴選びのポイントです。
・かかとの周りがしっかりしている
・靴が曲がる位置が前から1/3の部分である
・靴の底が平らで、安定している
・足の甲でしっかり固定され、足が前滑りしない
・靴の形、機能が目的にあっている
・中敷に適度なアーチがある 足への負担を普段から軽減することで、合併症の発生やトラブルの発見遅延を避けることが可能になります。
フットケア指導士について
日本フットケア学会では、フットケアに関して優れた知識と技術をもつ者を「フットケア指導士」として認定しています。資格認定には上記のケア方法を熟知しているだけではなく、以下の条件が必要です。
・日本国における医師、看護師、准看護師、理学療法士、臨床検査技師、義肢装具士、臨床工学技士、介護福祉士、薬剤師、作業療法士、栄養士のいずれかの国家資格を有していること(都道府県知事の認める准看護師も含む)
・上記資格取得後、3年以上の実務経験を有すること
・フットケアの実務経験を有すること
・フットケア指導士認定セミナーを受講していること(認定セミナーの有効期限は2年間)
・日本フットケア学会の学会員であること
フットケア指導士資格は、医療や福祉に携わる方が患者さんへより適切な対応が図れるだけではなく、後進の育成にも役立てることができる資格です。自身のスキルアップのみならず、あらゆる面に大きく貢献できるため興味がある方はチャレンジしてみると良いでしょう。 なお、フットケア指導士は5年更新が規則です。これにより、たゆまぬ自己研鑽と技術向上を可能にしています。
参照元:一般社団法人フットケア学会「認定資格受験条件」http://www.jsfootcare.org/ja/authorization/#a2